相談者:「消費税の『インボイス制度』って、初めて聞くけど、これまでとは何か違った制度になるの?」
税理士:「そうなんです。これまでの制度とは異なるので違った対応をしなければなりません。」
相談者:「どんな制度なの?」
税理士:「インボイス制度を説明する前に、今更ですが「消費税の仕組み」を理解していただくとインボイス制度がよくわかりますので、そこから解説していきましょう!」
例(消費税の仕組み)
消費者Aさんが、家電量販店で30万円のパソコンを購入するケース。
登場人物:PCメーカー・家電量販店・消費者Aさん
家電量販店からの視点
家電量販店は、PCメーカーからパソコンを20万円で仕入れて、消費者Aさんに30万円で販売したとします。利益は10万円です。
ここで家電量販店はPCメーカーに対して20万円+消費税2万円を支払います。
また、消費者Aさんへ販売した際、30万円+消費税3万円を受け取ります。
【商取引】としては、売上30万円
▲仕入20万円
利益10万円
【消費税】の扱いは 受取った消費税3万円
▲支払った消費税2万円
手元に残った消費税1万円(手元に残った消費税1万円は国に納付)
消費税が始まる前までの時代では、【商取引】のみでしたが、現在は【消費税】があります。ただ、受取った消費税3万円と支払った消費税2万円の差額1万円は国に納付するので基本的には1円も残ることはありません。
家電量販店としては、消費税が始まる前の時代と始まった後の時代では、会社に残るお金は基本的には変わっていないことが分かります。
PCメーカーからの視点
PCメーカーは20万円で家電量販店へ販売しています。
尚、家電量販店へ販売した際、20万円+消費税2万円を受け取ります。
【消費税】の扱いは、受取った消費税2万円が残るが、国に納付するので手元に残らない
(分かりやすくするためPCメーカーは、仕入れや諸経費等支払いが無いものとみなす)
受取った消費税2万円を国に納付するので基本的には1円も残ることはありません。
PCメーカーとしても、消費税が始まる前の時代と始まった後の時代では、会社に残るお金は基本的には変わっていないことが分かります。
消費者Aさんの視点
消費者Aさんは、家電量販店で本体価格が30万円(税抜)のパソコンを購入します。
尚、購入した際、30万円+消費税3万円を負担しています。
消費税が始まる前の時代には、30万円で購入できたパソコンが、今では消費税3万円を支払って、合計33万円払わなければ購入できない仕組みになっています。
まとめると、PCメーカーも家電量販店も消費税の無かった時代と今の時代では、基本的には残るお金は変わることなく損得に影響もないことが分かります。
一方で消費者は、消費税によって購入する際、10%の負担が課せられることになりました。
消費税は負担している人と納めている人が違います
税理士:「○○さんは、確定申告をして所得税を納めていますね。」
相談者:「もちろんです」
税理士:「納付をしているだけでなく、○○さんがその所得税を負担していますよね」
相談者:「当たり前じゃないですか。私の利益からその税金を払っていますよ」
税理士:「消費税は、負担している人と納めている人が違うんです。先ほどの図を見ていいただくとわかると思います。消費税を納めているのはPCメーカーや家電量販店といった事業している人たちです。そして負担しているのは消費者なんです」
相談者:「え~。そうなの?」
税理士:「家電量販店でパソコンを買って33万円を払った後、レジに入った消費税の3万円を握りしめて『これは私が負担した消費税なので』と言って税務署に行ってその消費税を納めたりしないですよね」
相談者:「確かに。負担しているのは消費者だけど納めているのはお店ですね」
図より
【負担者】
消費税を負担した消費者Aさん 負担額 3万円
【納税者】
国に消費税を納付した家電量販店 納付額 1万円
国に消費税を納付したPCメーカー 納付額 2万円
合計納付額 3万円
まとめると最終消費者が負担した3万円が、家電量販店とPCメーカーを通して3万円全てが国に納付される仕組みになっています。実際にはもっと多くの事業者が繋がっているのですが、消費者の負担した消費税がまわりまわって事業者を通して国に納付される仕組みになっています。