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7.業種別事例

ここでは、これまで免税事業者だった以下の8つの業種のフリーランスの方を事例に取り上げて解説していきます。

1.司法書士や行政書士等の士業のケース

2.賃貸業等の不動産オーナーのケース

3.インストラクターや習い事教室の先生のケース

4.WEBデザイナー等のケース

5.ネット販売業者のケース

6.喫茶店・料理店等飲食店のケース

7.小売店のケース

8.副業で事業をしているケース




1.司法書士や行政書士等の士業のケース



適格請求書発行事業者になることを選択するか否か?



士業の先生方は、事業者に対して業務を行っている方が多いと思います。そこで企業の経理側から依頼する場合に会社の負担が変わる場合は、これまでのお付き合いがあったとしても契約の見直しを検討されてしまう可能性があるので注意が必要です。



例えば、登記の依頼をする場合に以下の2つの司法書士事務所に見積もりをしたとします。


A司法書士(適格請求書発行事業者)  B司法書士(免税事業者)



見積額 登記報酬110,000円   見積額 登記報酬110,000円    



見積額は、A司法書士もB司法書士も同じ110,000円で、支払いをする会社側はどちらも110,000円の支出になります。



ただし、支払った会社側の経理処理は、



A司法書士には 支払報酬100,000円 と 消費税報10,000円となりますが



B司法書士に対しては、支払報酬110,000円 と 消費税0円となります。



A司法書士に依頼をすれば100,000円の報酬となりますが、B司法書士に依頼をすれば110,000円の報酬となります。またA司法書士さんに依頼をすれば、消費税10,000円が控除できますが、B司法書士さんに依頼をすれば、消費税を0円とするので、控除できないためA司法書士さんに依頼するよりも会社の負担が10,000円増えることになります。



どちらの司法書士さんに支払っても110,000円ですが、その後の会社の消費税の納税の負担が変わってくるため、登記の結果が同じであれば、会社として負担が少ない方を選ぶ可能性が高くなります。



これらを考えると、企業をお客様にしている士業の先生の場合、適格請求書発行事業者になることをお勧めします。



免税事業者を継続しても良いケースはある?



それでも免税事業者を継続できる可能性があるとすれば一般消費者を対象とした業務としている士業の先生です。司法書士や行政書士の先生で、一般消費者の方の遺言を作成したり相続手続きをしたり相続業務を専門としている方であれば免税事業者を継続することも可能かもしれません。一般消費者の方であれば「適格請求書」を求められることはありませんので。ただ、相続に絡んで会社の代表者変更の登記などを依頼された場合に、会社に対する請求書には適格請求書として発行できませんのでその点は注意が必要です。



また、特殊は行政手続きや特殊な登記を専門としている士業の先生は、そもそも比較されることが少ないので免税事業者を継続してもこれまで通り仕事の依頼が続くと想定されます。


まとめ



企業向けにビジネスをしている場合は、適格請求書発行事業者になることを検討し、特殊な業務を専門としている場合や一般消費者向けを専門としている士業の場合は免税事業者を継続しても良いかもしれません。


2.賃貸業等の不動産オーナーのケース



適格請求書発行事業者になることを選択するか否か?



まず、賃貸に出している建物や土地が消費税の課税物件にあたるかどうかを確認してみましょう。



居住用のアパートやマンションであれば、そもそも消費税が課税されることはありません。また更地を貸している場合も消費税を課税されることはありません。



注意が必要なのは、家賃収入のほとんどが居住用のアパートマンションでも、その1階にテナントとしてお店に貸している場合です。お店に貸していると消費税が課税されますので、消費税を家賃とを一緒に受取っているケースが多いと思います。



このように、1階のテナント収入だけが消費税の課税対象になっている場合、この金額だけでは1年間で1000万円には満たないため、消費税の免税事業者になっていてこれまで消費税の納税をするなんて考えたことも無かったと思います。しかし、インボイス制度が始まる前に、テナントのお店側から適格請求書発行事業者かの確認が入ることになると思いますが、その時点で免税事業者のままだと消費税分だけテナント側が控除できなくなるので値引きの要求か退去の検討などがあることが予想されます。



また、土地の一部を企業に駐車場として貸しているケースも同じです。駐車場の収入は、全体の家賃収入からみたら、ごく僅かでも消費税を受取っている場合は、その借り手の企業から適格請求書発行事業者に登録しているか否かの問い合わせがあると思いますのでそれまでに検討しなければいけません。



収入のほとんどが消費税の非課税対象なのに、1部の課税対象の家賃収入のために消費税の申告をしたり納税をしたりするのは、ちょっと・・・と思われる方もいるかもしれませんが、テナント側に対応するためには適格請求書発行事業者に登録することを検討されることをお勧めします。



簡易課税制度で申告書の作成やそのための帳簿付けを簡便に



消費税の納税額を計算し申告書を作成したり帳簿を作成する際に、簡易課税制度という簡便な方法もありますので、検討されると良いと思います。ただし、簡易課税制度は一度選択すると2年間は強制適用のため、所有物件の大規模修繕をする時や建て替えをする際には簡易課税制度で良いのか専門家と相談の上、手続きをされると良いと思います。

適格請求書は毎月発行しなければならないか?

 

通常、取引がある場合は相手先にその都度請求書を発行しますので、インボイス制度が始まるとその請求書を適格請求書として、双方で保管する義務がでてきます。



不動産の賃貸借契約においては、最初に賃貸借契約書を交わしたら、毎月指定口座に振り込みをしていきますが、その都度オーナーが請求書を発行することはありません。



そこで、このようなケースではインボイス制度が始まる前に、不動産賃貸借契約書に適格請求書発行事業者の番号を記載して再度、賃貸借契約書を締結すればそれが適格請求書として認められることになっています。



適格請求書発行事業者に登録することを決められたら、テナントに入居しているお店との再度の契約も早めに着手すると良いでしょう。



まとめ



全体の家賃収入の中で消費税の課税対象になる金額が少なくても、その借り手である事業者側から適格請求書を求められますので、適格請求書発行事業者に登録するかを早めに決断し、相手企業との賃貸借契約の再度の契約に進まれると良いと思います。



3.インストラクターや習い事教室の先生のケース



適格請求書発行事業者になることを選択するか否か?



ヨガインストラクターやフィットネスクラブのインストラクター、またお茶・書道・ピアノ等の楽器の先生や英会話教室や学習塾等を運営していて免税事業者のケースも見ていきましょう。



これらの業種の方は、先生という立場で生徒さんから収入を得ています。この生徒さんになる方は、事業者ではなく、ほとんどが一般の消費者の方だと思います。特に子供の学習塾等で子供が事業者であることは考えにくので、免税事業者を継続されてもそれほど困ることは無いと想定されます。



ただ、下記の2点は注意が必要です。



1.同業者が生徒さんの場合

生徒さん自身も同業者でインストラクターや楽器の先生だったりするケースがあります。

例えばヨガインストラクターの方が、スキルアップのために別のヨガインストラクターの講座を受講される。その時はひょっとしたら「適格請求書」を求められるかもしれません。

その場合の対処法は事前に考えておいた方が良いかと思われます。



ただ、インストラクターや各講座の先生業のケースで免税事業者だった方は、適格請求書発行事業者に登録申請をしたらほとんどのケースで簡易課税制度を選択すると予想されます。そうすると支払った金額の消費税部分は関係なくなりますので、相手も簡易課税制度を選択していたら、そもそも「適格請求書をください」と言われることはあまりないとは思われます。

2.事業者と業務委託契約をしている場合



フリーランスとしてヨガインストラクターやスポーツジムのインストラクターをされていて、ご自身で生徒さんから直接収入を得ながらも、週に何日か企業との業務委託契約で、その企業の施設に行って講座を担当している方もいると思います。この場合、その企業から報酬を得ていると思いますので、その企業側から「適格請求書発行事業者の番号を教えてください。」と連絡がきます。その際、「免税事業者を継続しますので番号はありません」と回答した場合に、その企業との関係が今後どうなるか?とても難しい判断が必要です。相手先企業さんとの交渉になると思います。





まとめ



お客様が一般消費者である場合は免税事業者を継続することで、それほど問題は無いと思いますが、企業と委託契約でその企業から報酬を受けているインストラクターや先生は、恐らく相手先企業は、適格請求書発行事業者になることを求めてくると推測されますので、そこは相手と話をしながら検討していくことになると思います。


4.WEBデザイナー等のケース



適格返還請求書発行事業者になること選択するか否か?

 

事業者からホームページの作成などを受注するWEBデザイナーさんは、基本的に相手がほぼ事業者です。現在、既に毎月の更新契約を受注している場合に、これまでは消費税を掲載して相手企業に請求していても特に何も問題は無かったですが、令和5年10月1日からは、その消費税部分が全額控除されなくなりますので、相手の経理の方は困ると思います。3年間は80%控除できるが20%は控除できません。またその後の3年間は50%控除できますが、残りの50%は控除できません。その負担は事業者側の負担増となりますので、10月の制度開始までに適格請求書発行事業者の登録申請を進めるか、もしくは相手と交渉しながら免税事業者を継続していくかの選択となると思います。



もし、他のWEBデザイナーができないような特殊な技術があれば、免税事業者か課税事業者かは関係なく、取引を継続してもらえる可能性もありますが。



ただ、今後、新規のホームページの案件の見積もりを出すときに、同業の他のWEBデザイナーとの相見積もりの場合は、適格請求書発行事業者ではないことが選ばれない理由になる可能性もあることだけは注意しなければなりません。



適格請求書は毎月発行しなければならないか?



ホームページの更新料を毎月口座振替にされているWEBデザイナーの方は、毎月請求書を相手に渡していないケースも多いと思います。



そのような場合は、業務委託契約書などの契約書を締結していると思いますので、そこに登録番号等必要な事項を記載して、再度業務委託契約書を締結し直しをするか、そういった書面を残すことで、相手側には適格請求書の基準を満たしたことになります。



適格請求書発行事業者になった場合は、得意先の企業さんに敢えてこちらから適格請求書の発行事業者の番号を知らせた上で、その話を持ち掛けてあげると喜ばれると思います。


5.ネット販売事業者のケース



Amazonや楽天などのECサイトに出品をしているネット販売の事業者はどうでしょうか?



適格請求書発行事業者になることを選択するか否か?



ある大手のECサイト運営会社(Amazonビジネス)では、各出品者に対して、適格請求書発行事業者の登録番号を確認したいというメールが1年前に送られています。今後、そのサイトでは、適格請求書発行事業者の出品者と免税事業者の出品者がひと目で見てわかるサイトに変更すると書かれていました。



購入者の多くが事業者である場合は、適格請求書発行事業者に登録することを検討した方が良いと思われます。



もし、購入者の多くが一般消費者である場合は、免税事業者を継続しても良いかもしれませんが、ネットでの販売はお客様が見えていませんので本当に一般消費者かどうか判断することが難しいと思われます。また免税事業者を継続した場合に、事業者から問い合わせがあった場合には、対処法を考えておいた方が良いかと思われます。


まとめ



購入者の多くが事業者である場合は、適格請求書発行事業者に登録を検討された方が良いでしょう。また免税事業者を継続する場合は、ネットでの販売の特殊性からメールでの問い合わせの対応にも準備が必要だと思われます。



6.喫茶店・料理店等飲食店のケース




適格請求書発行事業者になることを選択するか否か?



飲食店の経営をされている場合に、こちらもお客様の大半が事業者なのか?一般消費者なのかで判断していいただければと思います。



もし、ビジネスマンが打ち合わせや会食で利用される飲食店であれば、免税事業者を継続した場合に、レシートが適格請求書になっていないことがわかるとその後、選んでいただけなくなる可能性があります。その場合は適格請求書発行事業者に登録することを検討してみてはいかがでしょうか?



もし適格請求書発行事業者に登録した後でも、仮に近くにあった会社が移転して、一般消費者だけがお客様になった場合は、免税事業者に戻ることも可能です。



お客様の様子を見ながら、将来的に変更も可能ですので、そのあたりもトータルで考慮してみてはいかがでしょうか?


適格請求書発行事業者になった場合の注意点



飲食店の場合、レシートが適格請求書になるケースが多いと思われます。適格請求書のフォーマットに沿って正しく記載されているか?インボイス制度が始まる前に確認が必要です。せっかく適格請求書発行事業者に登録しても、要件を満たしてないレシートを発行してしまうと、お客様から「うちの会社の経理から正しいものを再発行してもらうよう言われちゃって」となるかもしれませんので。


まとめ

 

お客様のほとんどが事業者の方であれば、適格請求書でなければ今後、選んでもらえなくなるケースが予想されますので、適格請求書発行事業者の登録申請は検討すべきでしょう。



ただ、ご近所の一般消費者をターゲットにしている飲食店であれば、そのまま免税事業者を継続してもお客様から適格請求書を求められることは少ないと思われます。



7.小売店のケース




リアルな店舗で小売店を経営しているケースはどうでしょうか?


適格請求書発行事業者になること選択するか否か?



原則として、お客様が誰なのか?をまずは考えてみましょう。



小売店を営んでいて、毎日どんなお客様が来店されるのか?まず、お店を経営していて、お客さんの大半が、ご近所の一般消費者であれば、免税事業者を継続されることを検討してもいいかもしれません。特に、近所の子供向けに駄菓子屋さんを経営されている場合、子供が「適格請求書」を求めてくることは考えにくいと思います。お客様でまずは判断をしてみましょう。



小売店の場合は、基本的にお店側から請求書を発行して相手に渡すのではなく、お店に陳列されている商品に値札があり、お客様はその値札で消費税込みの金額を確認して選択し、その金額がレジなど通してレシートという形で相手にわたることになります。適格請求書発行事業者の登録申請を行うと、そのレシートに「適格請求書発行事業者の番号」を記載することになりますが、レシートにこの番号が無いと困る人がお客様の中にいるかどうか?が一つの判断材料となります。



例えば、これまでに「領収書をもらえますか?あて名は○○株式会社でお願いします。」とお客様に言われた経験はあるでしょうか?その場合は、仕事で必要なものとして皆さんのお店で購入されているため「適格請求書発行事業者の番号」が記載されていないと困る可能性が高いです。そういったお客様が、それなりに存在するケースは、適格請求書発行事業者に登録することを検討した方が良いかもしれません。特に皆さんのお店が、いわゆるビジネス街の立地で、お客様もビジネスマン等、事業者の方が多い場合は、適格請求書発行事業者を検討された方が良いかもしれません。


まとめ



皆さまの小売店を利用するお客様が一般消費者なのか?事業として購入されているのか?を改めて確認した上で、適格請求書発行事業者に登録するかを決めていきましょう。事業として購入されるお客さまがほとんどいない場合は、免税事業者を継続しても良いかもしれません。


8.副業で事業をしているケース




適格請求書発行事業者になることを選択するか否か?



昨今、副業をしているサラリーマンが増えてきました。会社での仕事が終わった後や週末だけ副業として配達員をしたり、インターネットで商品やサービスを販売したりする方も多いと思われます。



副業にもいろいろな形態があります。アルバイトのように雇用形態で収入を得ていればそれは給与所得になりますのでインボイス制度は全く影響しません。



しかし、事業者として所得を得ている場合で、請求をする先が事業者の場合は今回のインボイス制度の影響を受けることになります。



一般消費者を対象に副業されていれば、適格請求書を求められることは少ないので免税事業者を継続することも検討されてもいいかもしれませんが、相手が会社などの事業者である場合は、相手は、その請求金額にかかる消費税の仕入税額控除を受けられなくなってしまいますので、適格請求書発行事業者への登録を考える必要が出てきます。



「副業なのに消費税の申告と納税までしなければならないのか?」と思われるかもしれませんが、実際に適格請求書発行事業者になるか?免税事業者として継続していくかの選択が必要になります。



副業なので、それを専門にしているフリーランスの方と比べてもそんなに収入が多くないかもしれませんので、適格請求書発行事業者に登録するか?とても悩ましいところです。相手先の事業者と話をしながら、決めていくしかありません。

  

ただ、今回の税制改正による2割特例を利用すれば、納税も抑えられますし、消費税の計算がラクになり、帳簿付けも本則課税方式よりも簡単ですので、うまく活用したいところです。




まとめ


イメージ的に副業は、あくまで副業なのでインボイス制度は関係ないと思われがちですが、会社などの事業者を相手にしている場合は、相手先が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書発行事業者に登録申請が必要になってきます。適格請求書発行事業者に登録した場合は、所得税の確定申告だけでなく、消費税の申告書の作成もすることになりますので、相手先企業とも話をしながらどうするかを検討されると良いと思います。

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